「繊細」という言葉を使うと親バカみたいだけど、まあ、親バカは特に否定しない。
もう6歳になって、本当に大変だった頃のことをずいぶん忘れてしまっていた。
ゲームに負けると、本気で怒って泣く。殴る。
やりたいことがうまくできないと、怒って泣く。殴る。
「できてない」「間違ってる」なんて言おうものなら(以下同じ)。
親しい人(親とか)に対しては怒りを出すけど、それほど親しくない先生なんかには怒れないので、涙だけになることも。
「○○していい?」と聞く日々
2歳3歳くらいの頃は、大人が勝手にいろいろやってしまうと、怒る。自分でやりたいから。誰かが右を左に動かしただけで、自分の意図ではないと怒る。
それはどの子も一緒なんだけど、たぶん長男は怒りのレベルがひどかった。
怒った後の収拾が付かない。
だから私はいつしか息子のお世話をする際「○○していい?」と聞くことが癖になる。
「牛乳空けていい?」
「牛乳入れていい?」
「お肉切っていい?」
「ふりかけかけていい?」
キミのおせわだっちゅうに! なぜ許可を得なくてはいけないのか。
あまり意識していなかったんだけど、保育園や幼稚園の先生に何度か聞かれた。
「ご飯の時間なのに『食べていい?』『お茶飲んでいい?』って、全部聞くんです」
これは! 親が虐待していると思われかねない発言。
「ママに聞かないとダメなの!」みたいな。
息子はもともと心配性ではあるんだけど、親的には許可を取らないと怒るようなことはしていない(と思う)ので、親の真似をしてそうなったんだと思われる。
普段どんだけ許可取ってるんだよ、自分、と思った事件だった。
怒り泣き叫んだ金魚すくい
金魚すくいデビューは、ポイの紙がそこそこ頑丈だという良心的なお店で、何匹か釣れて万々歳。「うまくいかなかったら怒り出すにちがいない」「そうなったらどうすればいい?」とかなりドキドキしながら望んだけど、何とかクリアした。
「ぼくすごい?」「うん、すごいね、うまいね」と言えることに心底ほっとした。
問題は、翌年だった。
昨年うまくできたのを覚えているから、期待値が大きい。
一緒に行ったお友達(6歳年上)は上手にたくさんすくっているのに、自分はそうでもない。
いくつかゲットできたのに、それでも満足できない。
2~3回くらいやったと思う。
「もう終わりにしよう」「やだー!!!やるー!!!!!!!」
喉が弾けてしまいそうなほど、張り裂けるような声で、叫び続ける。
阿波踊りのお祭りの最中に、少し横に入った路地で、雨の中叫び続ける。
一緒に行った家族はどん引きだし、道行く人で「うち、金漁飼えないので要りますか・・・?」とくれようとする人まで(「いや、金魚が欲しいわけではないので」と丁寧にお断りする)。
ここで彼の熱意に負けてしまうと、今後もずっと「駄々をこねればやらせてもらえる」と思ってしまう。
だからもう1~2回やらせても同じことが後ろに伸びるだけだ。むしろ長くなる。
最後には、泣き疲れてしまったんだったかな。
覚えていない。そして彼が怒り出したときの必勝法がない。
殴り倒されたパパ
何の拍子に怒り出したのかよく分らない。何か怒り出した、放っておくと誰彼かまわず殴る。だから、パパがぎゅっと抱きしめて落ち着けようとした(よくやる)。
そうすると、パパの手がふさがっていることをいいことに、頭をポカポカ殴る。子どもとはいえ、相当痛い。
自転車で坂道
補助ありだけど、自転車でちょっとお出かけした。
私は電動なので、上り坂でもスイスイ行く。
息子はそうはいかない。だけど、絶対自力で坂道を上りたい。
もちろん、上れない坂道もある。
途中で止まったら、大人だってムリだろう、という坂道。
真夏の炎天下。絶対に上りたくて、諦められなくて、泣き叫びながら上ろうとする。
「○○したほうがいいんじゃない?」
なんて言おうものなら罵詈雑言が飛んでくる。
全然進まないのに、叫びながら、道行く人に振り返られながら、近所の人の迷惑になりながら、やり続ける。
たぶん、30分~1時間くらい。
最後には、体力がなくて頭も回らなくてヘロヘロになり「むりだあ〜」と言った。
いまは?
今は怒ることはずいぶん減った。
2歳の次男がわがまますぎて、それをよく耐えてくれている。
怒りにまかせる、ってことは本当に減った。兄になってから成長した。
だけど、傷ついたときには泣く。やっぱりまあまあ怒る。それは残っている。
ちなみに次男は、怒ったときは無表情で(長男は怒りの形相になるので正反対)、ものを投げたり落としたり壊したりする。
何かがプツーンと切れるみたいだ。彼もいろいろ耐えている。ただ、ものを壊すな。
でもその後ケロッとしている。
数分経たずに「ママごめんね~」と泣きながら言ってくる。長男とは資質が全然違う。
話を戻すと、そんな乱暴な子どもに悩んでいる人があまりいなくて
(Yahoo!知恵袋とか見てもあまり同じケースがないし、親が悪い、という結論もけっこうある)、
ずっと乱暴に育ってしまうんじゃないかとすごく怖かった。
でも、ちゃんとりっぱによい子に育ってくれて(まだまだ道半ばだけど)、
本当に頑張ってきてよかった、って思う。本当に大変だったからね。
だけど彼の性格や特徴であり、なくなったわけではないので、
その情熱とか喜怒哀楽とか繊細さとかを、今度はいろんなことに活かしてくれるといいなって思ってる。