2013年2月25日月曜日

「大切なものは、目に見えないんだよ」

子どもをどうやって育てるかはいろいろ悩ましくて、できれば何か得意なことを持ってもらいたい。
楽器とか、絵を描くとか、運動とか。
親ができなかったことも、子どもには膨大な可能性があるわけで、そこに夢を見たいと思う気持ちもある。

だけど、私が何かほか大人よりも得意なことがあるとしたら、それを伝えてあげたいとも思う。
そのひとつがやっぱり、本を読むこと。本が大好きだということ。
大人でも本を読まない人はたくさんいるので、ただ本をたくさん読むと言うだけでも一握りのひとになれるわけだ。

先日のバレンタインデーに、夫にはあげたいものがあったので購入したのだけど、息子にはなににしようかなって。
駅前の本屋で絵本でも買うかと、「星の王子様」ともう一冊を購入した。

星の王子様はご存じの通り普通の文庫になるくらいのボリュームなので、それの絵本版。
絵本版といっても、ほぼすべての見開きに挿し絵が入っていて、それからエピソードをかなり抜粋しているというくらいで、字は多いし、漢字もたくさん。だけど、大きくなってから読んでもいいし、と購入した。

昨日の晩も、その前も、その前も、夜寝る前に読んでいる。
実際、まじめに読み聞かせると30~40分かかる。
ときどきうつぶせになりながら聞いたり、すでに絵を見ていないけど、「聞いてるよ」と本人は言う。
それに、たくさんある絵本の中から、その本が読みたいというのだ。
最初は王子様の挿絵が気に入ったみたい。私がキーホルダーでもっていたのも覚えていたのかな?

今朝の朝食の時のこと、私は先に用意をしてバタバタとしていたら、
「パパぁ、大切なものは目に見えないんだよ」
と突然。
私と夫は顔を見合わせた。
もちろんそのフレーズは、本の中で王子様がキツネに教えてもらった「秘密」。
私は本当に感動して、その後電車の中で、歩きながら、取材前に、何度も思い出してはじんわりと心を温めていた。

まだ本当の意味をわかっていなくても、私が伝えたいと思っていたこと。
本が好きで、本を読めば本当のことに近づけるよってことが、ほんのすこしだけ、伝わったのかもしれない。

「ママはね、本が大好きなんだよ」と言うと、「ぼくもだよ」と言う。
本が好きな子どもに、もっと言えば本が好きな大人になってくれたらいいなと思う。